ある冬の日。
 タミヤの家の周りに、ふっくらと着膨れた幼い子供たちが集まっていた。


「レーンーくん! あそびましょー!」


 レンブラントは「よっしゃ、みんなででかい雪だるま作ろうぜ」とはしゃぎながら出て行った。

 一方ジオルタは、暖炉のそばでひとり静かに本をめくっている。

 タミヤは側にココアの入ったカップを置きながら、ジオルタに話しかけた。


「ジオは? 行かなくていいの」
「別に。雪なんて興味ないし、それに」ジオルタはココアをすする。「あの子たちはレンの友だちだから」
「あら。そういう時は、混ぜて、って言えばいいのよ?」
「いい。ここで勉強する」
「そう……。でも、みんなのところに行きたくなったら、遠慮しなくていいんだからね」


 それから、学生になっても。

 レンブラントはジオルタと違って、たくさんの友だちに囲まれて楽しそうに過ごしていた。

 勉強しないで遊んでばかりいるからバカのままなんだ、とジオルタは思う。

 けれど。

 いつも誰かといるレンブラントのことが、本当は少し羨ましかった。