「お二人ともかわいいですね」
「オレの方が絶対かわいいけどな」
イリヤは冗談かと思って顔を上げたが、レンブラントはそんな表情ではなかった。やがて室内にお茶の香りが漂い始める。どんな種類の葉だろうか、甘ったるいような、とても濃い香りだ。嗅いでいると、段々眠くなってくる。
そういえば、と、イリヤは訊ねる。
「あの、レンブラントさん。マリアさんという女性をご存知ですか?」
「マリア?」と、レンブラントはお茶を淹れながら訊き返した。「誰だ、それ」
「ジオの古い知り合いだと思うのですが」
レンブラントはさあ、と首を傾げた。「気のせいだろ。あいつに女なんて、兄弟子たるオレを差し置いて生意気だ」
さっきからどうもジオに対して棘を感じる物言いが混じるな、と、イリヤはジオとレンブラントの不仲を心配する。そういえば、アルバムの中の二人にも微妙に距離がある。
「つーか、本人に直接訊かないのかよ」
そう言われて、イリヤはぎくりとした。こっそり嗅ぎ回っている後ろめたさを突かれたこともある。が、それとは別に、昔何かあったのかも知れない女性の存在に少なからずショックを受けていることを、ジオに悟られたくないという大きな問題があった。
「お前、ジオルタが好きなんだな」



