ひとつ目の試験。
 これはジオのお手製だ。色々な問題集を参考に、難易度のバランスを考えてコツコツ作り上げた。


「ジオ、ここがよくわからないのですが」
「何? どこがわからないって?」


 ジオはいつものくせでイリヤの後ろに回り込み、危うく答えを言いかける。いやいや。


「……テスト中の私語は慎むように」
「はい!」


 故意なのか過失なのか、どちらにしても我が下僕、恐ろしい子に育ったものである。ジオはいっそう気を引き締めなければならなかった。



 チャイムの代わりにしている目覚まし草が鳴ると、その教科は終了だ。どうしても解けない問題にイリヤがしかめ面になったり、それを見てジオがはらはらする場面もあったが、目覚まし草の音が鳴ると何故か二人ともなんとなく脱力できて、良い気分転換になった。


 五教科を解き終えるまでに昼食を挟んでほぼ一日がかり。二人ともくたくたに疲れていて、疲れるだろうと思ってブレンドしておいたハーブティーを飲んだ。


「僕が丹精込めて焼き上げたチョコレートパイもあるけど」
「いただきますっ」
「じゃ、フォークとお皿の用意」