この辺りでイリヤの知っている場所は少ない。
行くとすればこの間の草原だろうとあたりをつけて、ジオは歩いた。
もしあそこに向かっていたとしても、道を間違えられていたら終わりだ。
人の少ない長閑な田舎といっても、いつ何時変質者が現れるかわからないーーと、ジオは思う。
ましてイリヤはかわいい女の子だ。
自分の下僕であることを差し引いてもかわいい。それは間違いない。
考えてみればジオの家にたどり着いたそれ自体が運が良かったからなし得たことで、もしも変質者がイリヤの姿を一目でも見ればただでは済まなかったことだろう。
怖い思いをしていないだろうか。寂しい思いをしていないだろうか。
原っぱ一帯に響き渡る声で、ジオは叫んだ。
「イリヤ! ここにいるんだろう!? 迎えに来てやったぞ、いるなら返事をしろ!」



