魔術師と下僕


 イリヤは自分が暮らした家を思い出しながら、ジオの荷物をてきぱき配置していった。元の家のイメージがなければこんなに素早くはできていない。自分の仕事ぶりに、自分でも驚くほどだ。

 本は元の家に比べれば少ないがそれでも膨大な数があり、イリヤはまず内容をざっと確認して仕分けることから始めた。これは大仕事になりそうだ。


「なにしてるんですか?」


 イリヤの様子を見て、本なんてただ本棚に突っ込むつもりだったジオは訊ねた。


「あ、本の仕分けをしてたんです。専門書とか多そうなのでその方が楽かなって」
「……そうですか」


 自分の作業をしながらちらちらイリヤの方を確認していたジオはやがて、イリヤのそばに来て作業を手伝い始めた。


「あなたも魔術師なんですか?」


 イリヤの作業を見ていて、そう思ったらしい。


「うーん」イリヤは少し悩んだ。「魔術師って言っていいのかな。学生なんだけど」

「経験はどうあれ魔術を扱う人は魔術師ですよ」


 さも当然とばかりにジオは言い、それもそうか、とイリヤは納得した。