お困りなのは見ればわかるとはなんとも皮肉たっぷりの言い回しだったが、ともかく助けてもらえるのだ、とイリヤは泣きそうになった。
「あ、ありがとうございます!!」
ジオはあからさまになんだこいつ、という目をしたが、もうなんだこいいつでもなんでもいい。ジオが助けてくれる。その事実だけで十分だ。
「お引っ越し、大変ですよね。なんでも言ってください! 手伝いますから! 下僕のように!」
「げ、下僕……?」
ジオのなんだこいつの表情はますます濃くなった。イリヤの勢いに完全に引いてしまっている。
「ところで、あなたの荷物は?」
「はい? あー、処分しました」
イリヤの返事はもう嘘だろうがなんだろうがどうにでもなれという投げやりな調子である。
「服とかもですか?」
「……」
言葉に詰まったイリヤに、ジオは「まあどうでもいいんですけど……」と、小さくため息をついた。
ともかく、自分から言い出したことだからとイリヤは引っ越しの手伝いをがんばることにした。ここまで不審すぎる印象しか与えていないし、少しでも信頼を勝ち得たいところだ。



