scene No.3

都会の灯りから少し離れた小高い丘の上の公園。

知る人ぞ知るこの穴場スポットからスゥと私は花火を見上げる。

見上げる…というか、この離れた場所からは花火の直径は手のひらサイズぐらいにしか見えない。

けれど、豪華クルーズ船やホテルの最上階のレストランでの…派手な演出やエンターテイメントは見られないものの、静かに花火の彩りと重なり合いを見る事のできるこの場所は、意外にも落ち着いて夏を感じる事が出来た。

弾くように花開く…火の粉の破片。

上がっては数秒で散っていく…儚い火の粉の舞いをスゥは何を思って見ているのか…。

シュルル…と上がってパンと弾ける普遍的なリズムでさえ、スゥには何か未知なるサウンドにでも聞こえるのだろうか…。

なんとなくリズムを刻んで、ダンスのカウントを小さく口づさんで空を見つめるスゥはとても純粋で子供のようにワクワクした目をしている。