2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」

妊婦向けの雑誌……しか、置いてない事に気づいた。
赤ちゃんモデルの天使すぎる笑顔。
ベビー服のブランドデイリースタイル。
育児グッズ、ランキング。
イクメンパパとのお出かけコース。
などなど…
イクメン…パパかぁ…

「朱雀の赤ちゃん…欲しかったな。」
「子供ができたら、考えてくれるかな…と思って。」

奈々美ちゃんのいつかの声が耳の奥でこだまする。
私はパタン…と雑誌を閉じてスタンドに戻すと大きく息をついた。その息が震える。
どうしよう……
カバンの中のスマホがブンと音を立てた。
心ちゃんからだ。
加工気味な心ちゃんが、アイコンの丸の中から上目遣いで覗き込んでいる。
「ハルさん、少し早めに会場に来て下さいね。
朱雀君の巨大パネルの前で写真撮りましょう! 
絶対…人だかりだろうけど、撮りたいでーす♡」
了解スタンプで返信する。
…何が了解なんだろ…私。
ちっとも、了解なんかじゃない気分。
オーディション会場に、どんな顔で向かえばいいのだろう。
スゥを目の前にしたら…私は冷静でいられるのだろうか。
「桐島さん…桐島小春さん。こちらです。」
トクン…
診察室から、看護師さんが顔を出して手招く。
これは、罰だ。
正しくないことの罰。
罪には罰が必要なんだから……
けれど…
この気持ちは…
この愛おしい気持ちは、私は…スゥを愛していると再確認しているようにも思える。
私は…やっぱり、
スゥのことを愛してる。