あの子の匂いがするのかと思って…少し怖かったけれど、スゥの背中はもう…汗が溶けたようなスゥの香りしかしなかった。

私は腕に力を込める。

胸が軋む。

加速するスピードにボロチャリのホイルが、キーキー軋む。

まるで鳴き声のようなその音は、私の胸にまで振動が伝わる。

キーキー鳴るのは、私の胸の中。

だって…

そうでしょ…

こうしてスゥに身体を寄せて…

こうしてスゥの温もりを感じながらも…



あの子とやって…

いっちゃうんだ…って。



その時のスゥの表情を妄想して…

ツーーーンとくる。

胸の軋みが痛い。

戸惑いと切なさを包み込んで、許しと哀れみとそして慈悲に溢れる…深い群青色の空を見上げた。

私とスゥは、ボロチャリに2人乗りで走り出す。