2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」

胸がぎゅっと潰される…とはこういうこと。

情けないループから、今抜けることができた。

アキちゃんはあの日から大好きな2人の友人の元へ帰れなくなった。

大好きなおばぁちゃんの元へ…帰れなくなった。

悔しいのはやっぱりアキちゃんだ。

リュウはよく3人で腰掛けていたというコンクリの段差に花束を置いた。

「アキは、こんな所にいない。分かってるんだけどね。」

未だにアキに手向ける花束に納得がいかない…とリュウは苦笑した。

私はリュウの隣にしゃがんで一緒に手を合わせた。

たぶん彼はこの手を合わせる行為にも納得がいかないのであろう。

アキは見つかってない…だから、納得がいかない。

一時の静寂、蝉をはじめとする虫の声に全身を支配されそうになる。

静かに目を開けるとリュウは立ち上がって、フェンスとフェンスの繋ぎ目…その奥を指差した。

「あそこ。あの細い獣道を入ると少し開けた場所があって、そこに秘密基地を作った楠木があったんだ。」

あの道の向こうに、廃村になった集落があってきっと昔はその村の広場だったんじゃないかって…捜索をしていた大人が教えてくれた。

リュウは人がふたりで並んで歩けないほどの細い道へと歩み寄る。

獣道同然の道をサンダルと軽装で分け入るにはかなり抵抗がある。

リュウも同じ気持ちだったのだろう、フェンスの繋ぎ目で足を止めると振り返った。