少しだけ息切れをしたのは坂道だからというより、真夏の暑さのせい…。
前を歩くリュウが視線を上げる。
「貯水タンク、到着っ…。」
くぐもった声でそう言った彼は緑の中に聳える巨大タンクを見上げた。
「懐かしいな…。」
白いタンクは水垢で黒い涙のような汚れが目立つ。
取り囲むフェンスにも錆がチラホラと見え隠れし、蔦の葉がそれを隠すかのように、幾つも伸びて這い上がっている。
私もリュウと並んで大きな貯水タンクを見つめた。
アキちゃんがいなくなった現場…。
フェンスの外側に管理棟があって、2・3台は車を停められそうな駐車スペースがある。
入口は鎖で封鎖されて〝立ち入り禁止〟の札がぶら下げられていた。
その横に〝入るな危険〟と書かれた立て看板は当時は無かった…とリュウは説明した。
「何日もかけてたくさんの人で山を探したんだ。
もちろん…この大きなタンクの中も。
絶望した…。
タンクの中を探してる大人を見て…こんな中にいたら
アキはどうなるんだって…。
怖かった…。」
リュウはそう言って、ひょいっと鎖を跨いだ。
「ヘアピンはここにあった。」
僕らは鎖をくぐって、よくこのコンクリの段差に座って遊んでた。
「ヘアピン以外は何も残って無かったんだ。…血痕も靴も髪の毛さえも。
もちろんタンクの中も綺麗なままだった。
ただ、あの日は誕生日だったから少しだけおしゃれをしたアキがここに座っていたことだけはわかるんだ。想像できた。」
前を歩くリュウが視線を上げる。
「貯水タンク、到着っ…。」
くぐもった声でそう言った彼は緑の中に聳える巨大タンクを見上げた。
「懐かしいな…。」
白いタンクは水垢で黒い涙のような汚れが目立つ。
取り囲むフェンスにも錆がチラホラと見え隠れし、蔦の葉がそれを隠すかのように、幾つも伸びて這い上がっている。
私もリュウと並んで大きな貯水タンクを見つめた。
アキちゃんがいなくなった現場…。
フェンスの外側に管理棟があって、2・3台は車を停められそうな駐車スペースがある。
入口は鎖で封鎖されて〝立ち入り禁止〟の札がぶら下げられていた。
その横に〝入るな危険〟と書かれた立て看板は当時は無かった…とリュウは説明した。
「何日もかけてたくさんの人で山を探したんだ。
もちろん…この大きなタンクの中も。
絶望した…。
タンクの中を探してる大人を見て…こんな中にいたら
アキはどうなるんだって…。
怖かった…。」
リュウはそう言って、ひょいっと鎖を跨いだ。
「ヘアピンはここにあった。」
僕らは鎖をくぐって、よくこのコンクリの段差に座って遊んでた。
「ヘアピン以外は何も残って無かったんだ。…血痕も靴も髪の毛さえも。
もちろんタンクの中も綺麗なままだった。
ただ、あの日は誕生日だったから少しだけおしゃれをしたアキがここに座っていたことだけはわかるんだ。想像できた。」



