…君がいた町…
scene No.5

私は、彼の背中について行く。

待って、リュウ。 置いてかないで…。

リュウにとって、私って何?

そういえば…はっきりと彼女だとは言われてない気がする。

好きでいていいのかな?

リュウのそばに…私はいていいのかな?

ここは夢の中…?

昨晩…浅い眠りの中で姿形の無いリュウを追いかけて私は泣いてしまった。

夢と現実の間でリュウを追いかけている私。

お互いに背中を向けたスイートルームの大きなベッドは広すぎてリュウにバレないように声を殺して泣くことは簡単だった。

リュウもまた眠れているようには思えなくて…背後で寝返りを打つたび擦れるシーツの音に、胸が締め付けられた。