私は跳ね起きて、つい〝運命〟だなんて軽い言葉を言ってしまったことに後悔した。

「ごめんなさい…リュウ。言いすぎた。」

「謝るのは俺の方だよ。ごめんな…頭、冷やしてくる……。」

そう言ってリュウは、バスルームへと消える。

スィートルームのジャグジーは、恋人同士がじゃれあっても十分な広さがあるはず。

私は、大きく息を吐きながら…窓の外を見つめた。

沈んでしまった太陽の光で、空と海の境目がぼやける。

違う…

太陽の光じゃなくて、涙でぼやけているのかな。

リュウに抱かれたら…

スゥとのことは自分の中で整理することができるかもっ…なんて都合が良すぎる。

指先で涙を拭った時、スマホがSNSの通知を知らせた。

いつもは、スルーするそれを…ふいっと見る。

スゥのインスタ。

数分前、目の前にあった…

別の角度から見た、同じ夕陽の色と空。

〝久しぶりの故郷の空〟

スゥの短いコメントに対して次々にファンの子たちがコメントする。

〝スゥ君、富山にいるの?〟
〝まさか練習サボってる?笑 そういうとこ可愛い♡〟
〝スゥ君、カッコイイ♡大好き!〟

本人の画像が無いにも関わらず…カッコイイのコメントが続いている。

同じ空の下。

私はリュウのシャワーの音を聞きながら、

〝幸せにする資格〟って…なんだろうと考えていた。