「ハルは…朱雀のお姉さんなんだ。
朱雀の親父さんがハルのお母さんと再婚して…一応半年しか歳が離れないけれど、お姉さん。」

リュウは遺影のアキちゃんに話しているのかおばぁちゃんに説明しているのか分からない口調で私を紹介した。

「へぇ〜。あんれ…そうかい、朱雀君の。」

返事をしたのはおばぁちゃんだったけど、リュウはアキちゃんに頷いてみせた。

「はい…。そうなんです。
リュウのお店の後輩で、朱雀の姉です。」

改めて言葉にして…

そっか…私って…そうなんだ。

と淡白な気持ちになる。

「(笑)どうりで…小春さんもハイカラなはずやね。東京の美容師さんやったかね。」

「いぇ…あの…私はまだ髪を洗ってばっかの半人前で…」

私の隣に座ったおばあちゃんは、瞳の奥をウルウルさせて私とリュウを交互に見て、アキちゃんの写真にも愛おしい眼差しを向けた。

「アキはね〜。私の仕事をよく見ていて…美容師になるって言ってくれてた。」

小さなため息と共に…おばあちゃんは私の手に自分の手を重ねた。

息子夫婦を亡くして…形見の孫娘も亡くすことになったおばあちゃんの手は、シワシワで温かかった。