長めの前髪は最近かけたウェーブが無造作に流れて…

シワの無いTシャツにジャケット…ビッグサイズのチノパンをスマートに着こなすリュウは美容師という裏方よりも彼自身が主役でモデルのように見える。

この人に髪を触れられたら…。

この人にじっと見つめられたら…。

この人に綺麗だと褒められたら…。

誰だって自分に少し自信が持てる。

それは恋という欲なものとは違って…相手がリュウだからこそ感じる崇高な気持ちを含む…高鳴り。

やっぱり…それが一般に恋というのだろうか?

右と左でイヤフォンを分けて…同じ曲を分け合う。

耳からのグローバルデイリーチャートと少しリクライニングさせた座席に身を委ねて、リュウはスマホをチェックしている。

リュウの綺麗すぎる横顔も、新幹線の速すぎる車窓も…どちらも眩しくて私はそっと目を閉じた。