「あっ……そう、ハルさん。
朱雀の部屋のコンドーム捨てといて下さい。」
奈々美ちゃんはバッグのファスナーを閉じて、視線をどこか遠くに向ける。
「…はい?」
「穴、開けちゃいましたから。全部。」
奈々美ちゃんはくくっと笑う。
離れたくないから…怖くなるから…不安になるから…
か…。
「子供、できたら…赤ちゃんできたら考えてくれるかなって思って。
私のこと見てくれるかな…ってちょっと思って。」
私はオレンジジュースの缶を握ったまま、奈々美ちゃんに聞こえないように長い息を吐いた。
「朱雀の赤ちゃん欲しかったな…て。」
振り幅が左右に大きすぎてついていけない。
生きたいのか…?死にたいのか?
生きたいから死にたかったんだ。
自分を傷つけることでしか…生きていることも愛することも計れない。
そんな彼女にどんな返事をしたのか覚えていないけれど…
スーツケースとバッグを持って病室を颯爽と出ていく彼女の背中が清々しかったのだけは救いに思えた。
朱雀の部屋のコンドーム捨てといて下さい。」
奈々美ちゃんはバッグのファスナーを閉じて、視線をどこか遠くに向ける。
「…はい?」
「穴、開けちゃいましたから。全部。」
奈々美ちゃんはくくっと笑う。
離れたくないから…怖くなるから…不安になるから…
か…。
「子供、できたら…赤ちゃんできたら考えてくれるかなって思って。
私のこと見てくれるかな…ってちょっと思って。」
私はオレンジジュースの缶を握ったまま、奈々美ちゃんに聞こえないように長い息を吐いた。
「朱雀の赤ちゃん欲しかったな…て。」
振り幅が左右に大きすぎてついていけない。
生きたいのか…?死にたいのか?
生きたいから死にたかったんだ。
自分を傷つけることでしか…生きていることも愛することも計れない。
そんな彼女にどんな返事をしたのか覚えていないけれど…
スーツケースとバッグを持って病室を颯爽と出ていく彼女の背中が清々しかったのだけは救いに思えた。