…推しと彼氏と彼女の関係…
scene No.4

奈々美ちゃんの病室は救急で運ばれた処置室ではなく日当たりの良い角部屋になっていた。

扉の前で一呼吸してドアノブに手を掛けると、その扉は向う側から勝手に開いてくれた。

奈々美ちゃんが私の気配に気づいて開けてくれたのだ。

「どうぞ。」

スマホを操作しながら彼女はしれっと私を招き入れた。

「お…お邪魔します。」

「退院の荷造りっ。もうほとんど片付いたんだけどね。」

「何か…手伝うことがあれば…。」

私は、奈々美ちゃんに快気祝いの花束を手渡した。

「ありがとうございます。結構、快適だったんですけどね、ココ。
帰るってことは…ワタシ、生きてかないといけないのかな〜って。」
彼女は皮肉混じりに、両肩を上げた。

「コハルさん。ご迷惑をお掛けしました。」

「あ…その…、私のことは…いいの。だから、2度と死のうなんて思わないで…欲しいっていうか…その…。」

「…くくっ。笑
ど〜しようかな〜〜〜。」

奈々美ちゃんはスマホを置くと挑発する瞳で私を見た。