2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」

「…待って、ハル…。」
スゥが私の右手首を掴む。

「俺、働くから。もし、このオーディションに落ちたら…就職する。
だからハル…部屋、借り直そう。」

ベンチから立ち上がるスゥの手を、私はそっと解いて彼を見上げる。

「俺が…部屋を借りるから。」

スゥは真っ直ぐにこっちを見つめた。

「ダメ…だよ。
落ちたら…ダメだよ。」

スゥに掴まれていた手首が…熱い。
自分から解いておきながら…私はその手首を無意識にぎゅっと胸に押し当てる。

「ダメだよ…絶対…。」

そう言う私を頭から引き寄せて、スゥはその髪に顔を埋めた。

「…俺、ハルのことが好きだよ。」

溶けて…

いたい…

このまま…

スゥの胸に…溶けてしまって…

2人で。


「スゥ…聞いて…
私、スゥと繋がってはいけない…。」

スゥの腕に力がこもる。

「私たち…本当の姉弟かもしれない。」

スゥの表情は分からなかった。

そう言った時、彼がどんな表情をしたのか…知らなくていいと思った。

こんなに…ドキドキしてはいけない。

これ以上…何かを求めてはいけない。

この腕も…解かなくてはいけない。