…推しと彼氏と彼女の関係…
scene No.3

心亜ちゃんおススメの、表参道で人気のお店で買ったカヌレの箱…
ティファニー色のその箱とレモン色のマーガレットの花束を持って、私は病院の外庭から
綺麗に羅列する病室の窓を見上げた。

昨日は動揺し過ぎたせいか、奈々美ちゃんが何階の処置室にいたのか…?
思い出せない。

エレベーターで降りたはずだから、上の階だったことは間違いない。

昨日とは明らかに顔色の違う晴れ晴れとした空に薄い雲が流れる。

お見舞い。…と言っても、奈々美ちゃんとどんな話しをすればいいのか…。

どんな言葉をかけたらいいのだろうか…。

面と向かって…私はどんな顔をしたらいいのだろうか…。

ここまで来て彼女に会う一歩が踏み出せずにいる私。

でもこのまま何も無かったことには出来ない。

どんな理由であれ…彼女が死のうとした事実に知らん顔は出来ない。