タンク山へ向かう途中…出会い頭に自転車とぶつかった朱雀は、足首を捻挫してしまったんだ。

足を引きずって…何とか貯水タンクの前に着いた時には、もうアキの姿はなかった。

「アキちゃん…帰っちゃったの?」

「いや。アキは朱雀との約束通りあの場所に来てた。
朱雀が貯水タンクにやっとの思いで辿り着いてすぐに、俺もあの場所に着いた。
3人の約束の時間を、2、3分過ぎた頃だったと思う。
そしてそこでアキのブルーのヘアピンが落ちている事に気づいた。」

だから、アキはあの場所にいた。

僕らより早く、あの場所にいたんだ。

「じゃぁ…アキちゃんは?」

「あれから…11年…。
アキはまだ見つかっていない。」

………えっ…。

「アキは、あの時から…あの日から、突然。
僕らの前からいなくなった。」