ぎゅっと…私を縛り上げるリュウの両腕。

その腕に頬を寄せたくなる。

リュウの側に居たい。

今日は優しいリュウの腕に溶けていたい。

思わず身体をよじる。

リュウの肩に腕を伸ばしてしがみ付くと頬も…首筋も…
リュウの身体は温かくて、生きることにためらうことなく脈を打っていた。

私にはそれがとてつもなく愛おしく思えた。

奈々美ちゃんの血の気の無い顔を思い出して、目の奥が熱くなる。

「怖い思いをしたんだね。
俺のせいで…早退させちゃったようなもんだしね。」

「うううん。早退したからこそ奈々美ちゃんは助かった。その…偶然が怖くて…。
もし…あの時、早く帰ってなかったら…ってそう思うと考えただけで怖くて。」