リュウの手ぐしがスルスルと私を撫でた。

「大丈夫。だから…息を吐いて…。話はちゃんと聞くから。」

いつもの私にだけに囁いてくれているような…リュウの声。

今は間違いなく私にだけ…囁いてくれている。

息がちゃんと吸えた…。

「大丈夫。」

リュウはそう言って微笑むと…もう一度私を胸に仕舞った。

私はリュウに昼間の出来事を話した。

リュウの胸の中で恐怖を吐き出すと楽になった。

「…今更…怖くて、指先が震えるの。」

リュウは黙って頷きながら私の話を聞くと、私の震える指先を自分の手のひらに包み込んだ。

濡れちゃったから…寒いだけ…かな?

もう…ずぶ濡れには慣れてきた。
雨は…意地が悪い。
いつだって…気まずい時に傘が無い。

そう言ってワザと誤魔化そうとする私にリュウは真剣な眼差しをくれた。