そこにリュウが居てくれたことにホッとしたせいか…今更ながら、人ひとりの命が消える瀬戸際の恐怖が襲って来た。

「ハルちゃん…大丈夫?」

「リュウ…ごめんなさい。私こそ、私こそ…謝らなくちゃ。
自分の気持ちが分からなくなっていたのは私の方なの…。それから…それからね…さっき…。」

言いたいことが、上手くまとまらない。

伝えたいことが…もみくちゃになる。

「ハルちゃん…落ち着いて。もう…大丈夫。」

リュウは冷たくなった私の肩をぎゅっと抱き寄せる。

軽い…過呼吸。

空気の量に溺れそうになるところをリュウの胸に顔を埋めて調節する。

雨を含んだ重たい髪にリュウの指先が優しく滑る。

身体中に安堵が広がっていくのを感じた。