推しと彼氏と彼女の関係
scene No.1

重い身体を引きずって…やっとの思いで家に辿り着いた私は、玄関扉の前にしゃがみ込む人影にハッとした。

「……?リュウ……?」

濡れた前髪の隙間から見るリュウは、まるで魚眼レンズ越しのように丸くカーブを描いていて…そんな風に輪郭がぼやけて見えた。

「さっきは…ごめん。
ハルちゃんの気持ちも考えないで、俺…勝手なことばっか言って。
だから、そのぉ…一言、謝りたくてさっ。」

 リュウ……。

いつもになく落ち着かない表情で、自分の両指を絡ませるリュウに私は思わず駆け寄った。

ずぶ濡れの髪も服も忘れて…

リュウの胸に飛び込んだ。

「リュウ…リュウ…怖かった。怖かったよぉ…。」