小走りから…

走って…

走って…

病院の夜間入口を出た時には、雨が降っていたことにさえ気づかなかった。

しれっと降っていたその雨に気づいたのは、ゴトンという音と共に電車の扉が私の目の前で開いた時だったと思う。

頭の上からつま先まで…ずぶ濡れの自分。

すれ違う人が心配するような、事件でしかない浮いた姿の私は電車に乗ることをやめた。

駅、一駅分くらい…この際濡れて歩いて帰ろう……。


胸が…キリキリと痛む。

キリキリを誤魔化すように…私は雨の中を歩きだした。