カーテンの間仕切りを締めて…引き戸を閉じると看護師さんが遠慮がちに声を掛けてきた。

奈々美ちゃんが運ばれてきた時に事情を聞かれて咄嗟に…

「…恋愛の…もつれ?…というか…そういうこと…かと。」
と余計なことを言ってしまったのだ。

自分の頭の中が混乱し過ぎて、上手く誤魔化す理由が思い浮かばなかった。

今思えば…もっと気の利いた理由はなかったかと嫌になる。

「さっきの…奈々美さんの彼氏…さん?」

「あっ…あぁ…。はい。
もう…大丈夫だと思います。」

私は軽く会釈してその場を立ち去った。

看護師さんは、私を呼び止めてまだ何か話がありそうだったけれど…私はあからさまに耳を塞ぐようにしてその場を走り去った。