2人のことが…
scene No.3

タイミング良く…ホームに滑り込んで来た電車に乗れた。

リュウの唇の感触が残る胸元にドキドキする……

それとも…
スゥの唇?

もう…分からない。

私の気持ちはどこに向かってしまうのだろう。

電車の入り口の手すりに寄りかかり、流されていく景色を追った。

徐々にスピードを上げて真昼の街並みを駆け抜ける電車の揺れに私は簡単にヨロヨロする。

2人の感情に脆くも流される自分。

〝アキ〟と親しく2人に呼び捨てされる天使…とは?

もう…何も考えたくない。


アレ……?

もう何も考えたくないと言いつつも、思考を巡らせながらアパートの鍵を回してしまったことに、ハッとした。