スゥが、こんなにも心配して焦る姿を見たことがなかった私は、しばし呆然として抱きしめられた肩越しに宙を見つめた。


私…
リュウとキスしちゃったよ…

それでも…
心配して私を抱きしめてくれるの…?

そんな瞳で…私を見つめてくれるの…?


心の中で何かが叫んでいる。


「ごめん…ね…スゥ。 心配かけて。」

「何があったの?…もしかして奈々美?」

あっ…そうか。
そうだよね……。

私は思い切り首を左右に振って、奈々美ちゃんの誤解を解く。

「私……アリスさんを怒らせちゃった。」

「アリス…さんって…。
あぁ〜。ハルのお店の…そう!リュウのお客さんだよね。
taigaさんとも知り合いだって言ってた彼女だっ!」

「そう…そのアリスさんを私が怒らせちゃったから……。」