2人のことが…
scene No.1


アパートの鍵を開けたが扉は中から内鍵が掛かっていて、私は数センチの隙間に拒まれた。

そっか…。
内鍵…。

スゥにこの姿を見られたくなくて…
すぐに洗面に向かって着替えようと思っていたけど…無理みたい。

「おかえ……り…。」

内鍵を解除したスゥは、こんな私の姿を見てノブに手を掛けたまま数秒…言葉を詰まらせた。

「ただいまっ。」

開き直るしか部屋に入れないのだから…仕方がない。

「どうした…?その格好。」

スゥの顔を見た途端に…全身から力が抜けるのが分かった。

安心感が身体の力を奪っていく…とはこういう感覚なのだ。

スゥの表情は硬く…私を自分の胸に引き寄せると急いで玄関に鍵をかけて、内鍵も閉めた。