scene No.3

…アキっ!!…

「…へっ?…」
私は思わず神社の参道で振り返る…。

今、アキ…って呼ばれたような?

細い古道の終着点にスゥが脇腹を抑えて俯いている。

「スゥ……?」

「はぁ…はぁ。 ったく。
どこ行くんだよ…真っ直ぐウチ、帰って来いよ。」

スゥが息を切らせてまで、追いかけて来る理由が分からず…私はくすぐったい気持ちになる。

アキっ…て。

気のせいか?

呼び間違えられたのかと思った。

「(笑)何?どうしたの。そんな顔して。」

何かを振り払うかのように、スゥは首を左右に傾げる。

「……リュウが心配してた。」

「………?リュウが心配してて、スゥが追いかけてくるの?」

「うん。まぁ…それは。」

「(笑)スゥとリュウって面白いよねっ。」

「とにかく…心配してるっ。」

〝あっ…もしかしてっ。リュウに…見られちゃった…?〟

と言いかけて私は口をつぐんだ。

「とにかく…こんなに遅くにそんな格好で、1人歩きすんじゃないよ。」

スゥは…神社の境内を見回し、手水舎の裏側を除き込んで辺りを警戒した。