古い民家が立ち並ぶ細い路地。
街灯も逆側の大通りとは違って薄暗い。

油断して歩いていようものなら…肩を路肩の電柱にぶつけてしまいそうな程その路地は狭くて古い。

街の開発に取り残されて…何十年も前からそこにあった古道は、薄らと湿った苔むす匂いと下水の匂いが微かに混じる。

身長180センチ近いスゥにはかなり不自然な歩幅で3センチ程の段差が不定期に現れる、人に優しくない古道だ。

その先に、いつもの神社がある事は知っていたが…こちらの道からは来たことがなくて、追いかけるハルの後ろ姿が、ふっ…と、暗闇に吸い込まれて行くような不安にかられたスゥは足を早めた。

…アキを守れなかったから…

俯いた流青の表情は見えなかったけれど…

朱雀はハルを追って走り出した。

引っ掛けるようにして履いてきたスライドサンダルが走りにくくて…おまけに嫌な角度の登り坂。

ハルに追いついた時には、肩で息をして脇腹を抑えて身体を二つ折にしていた。