ツーーーーっと喉の粘膜に糸を引く液。

スゥは鏡から視線を私にスライドさせると、整った鼻筋を寄せる。

絡みつくような無言の距離。

その数センチ程の囚われた空気は悩ましく…誘惑に満ちて…立ち眩みしそうになる。

力づくで押し倒されそうな…突き破られそうな、スゥの表情。

細いツバを引く歯ブラシを口から離すと私は近すぎる彼との距離に、肩を名一杯壁に寄せて目を逸らしてみた。

無意識に行ったり来たりする感情。

理性と罠を交互に仕掛ける2つの感情。

ダメ…でも。

ダメ…でも…

でも…ダメだよね。

私の中の胸の天秤がドキドキするたびに傾いていく。

スゥの身体が近くて…スウェット越しの下腹部が…私の腰にグッと寄りかかる。

背中ごと壁に追い込まれた私は、閉じた瞼に力を込めた。

息が……出来ない。