scene No.2

〈ヘアーサロン リンドフィールド〉


「おはようございま〜す。」

私は裏口の小さな扉からお店に入る。

まるでお洒落なアンティークショップかのようなヘアーサロン。

テラコッタオレンジの壁紙に、ピスタチオ色のスタイリングチェアが4つ。

100年物のくすんだ金縁の鏡は、どれも形が異なって4つともそれぞれに個性的…。

お気に入りの空間に口髭の似合うダンディーなオーナー。

オフホワイトのサマーニットを、これ程上手く着こなせる一般人をあまり見た事が無いかも…。

オーナーの田代さんは、「よっ!おはよっ!!」と、私の両腕に畳んだばかりのタオルの束を乗っけて颯爽とバックヤードに引っ込んだ。

その入れ違いで出てきたのは…

スタイリストの 滝沢流青(たきざわ りゅうせい)