並んで立つ心亜ちゃんに気付かれぬよう…複雑なため息を飲み込んだ。

動き出す電車の車窓からあの大きな掲示板が見える。

映し出される25人の候補生の顔写真。

群がる女子高生がスゥの横顔に飛び跳ねる。

別人か…ってくらい…

ヤバい。横顔、神。


心亜ちゃんの言葉を借りるなら…

スゥしか勝たん。

私にとってスゥは…朱雀は…??

弟…ではなく、推し??

そう思って付き合ってもいいのかも。

男としては落選だけど…推しとしてはこのオーディションを勝ち取って欲しい。

変なの。私……。

本日何度めかのため息がやっぱり出てしまう。

「それじゃ。ハルさん、夕方お手伝いに行きます。よろしくお願いします。」

心亜ちゃんはそう言って駅前の美容学校へ…私より一つ前の駅で降りた。