「今日、お祝いしたいからっだって…(笑)
小春ちゃんや、心亜ちゃんに先約を取られたくなかったのかなっ(笑)」

オーナーは冗談半分に笑う。

はぁ……。

そんな…訳…

あるか。

アリスさんなら…(苦笑)

「いやぁ…でも、流青がファイナルに残ったりなんかしたら、すごいよぉ〜!!
この店もこんなにのんびりやってられないかもしれないね。」

「そうですよね。」

「あっ…気が早いか…ははっ!」

オーナーも平静を装いながらも実は嬉しくて興奮している様子が伝わる。

お店の観葉植物に水をやるフリをして…私はアリスさんと流青君の会話に耳をそば立てる。

アリスさんは胸の前で小さく手を叩いて微笑んでいる。

流青君も嬉しそうに照れ笑いをしながら…けれど態度は謙遜しているのが、ここからでもわかる。

クラックル加工のレトロなステンドグラスを透かして揺れる朝の光は…アリスさんの頬をほんのり赤く染めて、柔らかく包み込んでいる。

流青君と2人並ぶと…シルエットさえも美しい。