…彼女と彼と彼…

scene No.1

〈ヘアサロン リンドフィールド〉

はぁ……?!!

…びっくり…した。

開店前ですけどっ。

私が出勤すると既に待ち合いのソファーにアリスさんが座っていた。

ヴィンテージのブラックレザーのソファーに浅く腰掛けてスマホをいじっていたアリスさんは、流青君に声を掛けられて秒で立ち上がった。

朝の挨拶の後…アリスさんは興奮気味で流青君に歩みよる。

私はあえて…2人の邪魔をしないようにバックヤードに引っ込んだ。

「どうしたんですか?アリスさん…早くないですか?」

バックヤードだというのに、私は小声でオーナーに探りを入れる。

「あ〜(苦笑)。
昨日、流青がコンテストの1次予選に通ったって話したら…どうしてもお祝いの言葉を言いたいって。
ほら昨日…流青、午後から渋谷の店にいていなかったから。」

「それで…こんなに早くからですか。」