小さな物音の集合体のせいで、リュウは、私と同じく…「うわぁーーーーっ!!」という悲鳴と共に目を覚ました。

肩で息をするリュウの背中に私は声を掛ける。

「リュウ……?大丈夫…?」

やんわりと首だけをこちらに向けたリュウは
シンクの上の蛍光灯に眩しそうに目を擦る。

「アキ?アキ……なの?」
と掠れた声で囁く。

ア…キ?

寝ぼけ眼のリュウの口から出たのは、
〝アキ〟という私の知らない…私ではない、誰かの名前だった。