scene No.4

何もない寝室と同様に流青君の家のキッチンは必要最低限の物しかなくて…アルミのシンクの上は綺麗すぎて使う事をためらう程だった。

お皿やカップはシンプルだけど銘柄に拘った流青君らしい雑貨。

だけど、まな板や包丁、ちょっとした調理器具はモノトーンで統一されてはいるが、近所の100円ショップで購入したものだろうか…本気で調理するつもりなら、頼りないものが多かった。

オママゴトのようなペラペラしたまな板の上にトマトをのせて…流青君が包丁を入れる。

テンポの良い通販のテレビCMの包丁の切れ味とはいかないと分かりつつも…思った以上に切れない。

トマトの皮は金属に潰されただけで、中身はくしゃっと刃の横に赤くはみ出した。