「ソファーに…キッチンの包丁が突き立ててあった。
ここにいるのは危険だよ。相手は鍵を持ってるし。」
流青君はリビングに視線をやりながらため息混じりに呟いた。

「でも………。」

「参ったな…。」

「内鍵はあるから…万が一奈々美が戻って来ても、物音があれば分かるけど…ハルはここに置いてはおけないな。俺はスタジオでも何とかなるけど…」

「ダメだよっ!!
きっと…奈々美ちゃんの…スゥを思う気持ちがこういう行動に向かわせたんでしょ。だとしたら…スタジオも事務所も危険だよ。」

「…………。」

スゥは黙り込む。



しばらくの沈黙の後…

「俺ん家来いよ。2人とも…」

流青君が口を開いた。

「スタジオも事務所も危ないことには変わりないし、ホテルも…もうこんな時間だし。」

流青君は軽く笑ってスゥの背中を叩いた。

「来いって。しゃーなしでっ!笑
刺されたとか殺された…とかシャレんなんないし。
もし、朝、朱雀が刺されていて…家に連れて行かなかった後悔から、俺はお前のことを一生忘れられずに生きていく、な〜んてのはごめんだっ!」