「ここに向かっている道中で、流青にばったり会ったんだ。」

「朱雀から、ハルちゃんの家が大変なことになってるって聞いて……。」

私は2人の顔を交互に見ると、急に…安心感からか…力が抜けすぎて声が出ない。

両耳から…そっと手を放して、緊張していた背筋を丸くした。

「奈々美…ちゃんは?」

私の掠れた声に、スゥは戸口を振り返りながら…「分からない。会わなかった…。」と首を振った。

そして、大きくて…黒目がちの瞳をじっとこちらによこした。

眼球の奥から圧が加わる…潤んだ瞳。
スゥの表情はいつもと違ってやけに真剣で強張っていた。

私は…ハッと気づいて、慌てて這い上がったままのロングスカートをくるぶしまで降ろして、露わになっていた太腿を隠した。