scene No.2

しばらくして…
脈を打つ音しか聞こえない耳の奥にバタバタと足音が騒いで、同時にドアノブの回る音が響いた。

少し乱暴に気流が押し寄せて、私はビックっと肩を窄めた。

「ハルっ!!」

「ハルちゃんっ!!」

自分を呼ぶ2種類の声。
私は塞いだままの両耳から恐る恐る顔を上げた。

荒い息遣いと共に溢れ出た声は、部屋の奥に向けたもので…目の前にへたり込んでいる私に気づくと、スゥは息を呑んで視線を落とした。

「ハル…大丈夫?」
スゥはそう言って側にしゃがんで…私の両肩に触れた。

スゥの肩越しにさっき送ってもらったはずの流青君の顔が覗き込む。

「ハルちゃん…ごめん。部屋の前まで送ればよかった…。」

私はその言葉に、首を左右に振る。