開けるか…閉めるか。

出掛ける時、私は大概…扉を閉める。

暗闇に目を凝らす。

スゥは、たまに開けっぱなしで出掛けてしまうことがあった。

けれど暗闇に口を開けるその入口の扉は、スゥのそれともまた別だった。

漆黒の闇の向こうに…かすかに白い何かが舞う。

私が帰って来たせいで、風が流れてその白く軽い浮遊物は舞い上がったのだろう。

何? 何なの…?

白いそれが、一つ…すぅーーっとこちらへと床を滑るように動いてくる。

気流に遊ぶ…それに目を凝らす。

わた?ぼうし…

大きな埃?

羽毛……。

私はやっと、今やっと…この家が朝、出かけた時の我が家の状態では無いことに気づいた。

恐る恐る、廊下の壁に左肩を引きずって…リビングへと近づく。