緑川さんへの返事は保留にしたものの、やはり答えは出せずにいた。
仕事中に何度もため息をついていると、スマートフォンを見ていた小沢さんが声を上げた。
「えー、嘘でしょう?」
「どうしたの?」
「今日の合コン、メンバーの一人が行けなくなったって……」
「小沢さん、この間も合コン行ってなかった?」
「当たり前ですよ。行けるうちに行かないと、出会いなくなっちゃうじゃないですか! わたし、あれから彼氏と別れたんですよ」
顔には出さなかったけれど、小沢さんは拗ねているようだった。彼氏と別れたことが寂しかったのだろう。
そこで、小沢さんはわたしに向き直った。
「先輩、合コン出てくれませんか?」
「え、わたし?」
「ちょっと顔を出してくれたらいいんです。お金も相手持ちですから。今日、男性メンバーの年齢層が高めなんです。行けなくなった子も、たぶん、それが理由でドタキャンしたんです。おじさんは嫌だって言ってたし……。あーあ、せっかく商社マンとの合コンにこぎつけたのに!」
「相手、いくつくらいの人なの?」
「三十二、三歳です」
それはわたしにとってはおじさんという定義から外れた年齢だった。まあ、二十代前半の子にしたら、違うのかもしれないけど。
わたしはしばらく考えた。せっかく結婚に前向きになってきたのだから、ちょっとくらいいいかなという気がしていた。
「わかった。行くよ」
「ありがとうございます!」
小沢さんはわたしの手をぎゅっと握った。
