「随分と大きな野望を抱いたものだな」
大蜘蛛の言い訳を、咲耶は聞き届ける気はないらしい。
その証拠に手にした刀を構えると、切っ先を大蜘蛛の額に突き付けた。
「め、滅相もございません! すべて悪い冗談です!」
「そうか。だが、俺は冗談が嫌いでね。そして不穏分子は早いうちに摘むべき也というのが、我が軍の戒律だ」
そうして咲耶は呪文のようなものを唱えると、手にした刀を素早く大蜘蛛に向かって振り下ろした。
「ギャアアアア!!」
次の瞬間、大蜘蛛の身体が真っ二つに割れ、裂け目から咲耶の髪色と同じ黒い煙が噴き出す。
「あ、あ、ぐ、ぐああああ!!」
辺りにおどろおどろしい断末魔が響き渡った。
ふたつに割れた大蜘蛛の身体はあっという間に灰となり、煙のように消えてしまった。
「い、今のは……」
一瞬の出来事で、耳をふさぐ猶予もなかった。
事態を飲み込めない吉乃は茫然自失して、今の今まで大蜘蛛がいた場所を見つめていた。



