「薄紅色の瞳を持つ人の女だと――?」
男が、鷹のように鋭い目をそっと細める。
改めてその瞳に吉乃を映した男は、なにかに気付いた様子で形の良い目を見開いた。
「お前は……」
そして、導かれるようにゆっくりと、吉乃に向かって歩いてくる。
吉乃は腰を抜かしたまま、動くことができなかった。
そのまま男は吉乃の目の前で足を止めると、徐に跪き、至近距離で吉乃の顔をまじまじと見つめた。
「女、お前、名はなんという」
(ち、近い……!)
恐ろしいほど綺麗な顔だ。
さらりと風に流れた銀色の髪は毛先に向かうにつれ吉乃の瞳と同じ薄紅色に染まっており、陽に透けると色濃くなった。
人ならざる者の中には人間離れした容姿をした者がいると聞いたことはあるが、想像を遥かに超える神々しさに、吉乃は声の出し方を忘れるほど狼狽えた。



