(な、なに? なにが起きたの?)
突然のことに吉乃は事態が飲み込めず、困惑してしまった。
対して周囲を囲まれた大蜘蛛は、それまでのおごり高ぶった態度が嘘のように小さくなった。
「ときに大蜘蛛。案内所をこのような有様にするとは、一体どういう了見だ。ことと次第によっては、貴様を粛清せねばならんが、覚悟はできているのだろうな?」
「も、申し訳ありません、どうかしていたのです! こちらの女に――この、薄紅色の瞳を持つ人の女に、特別な異能の力が備わっているのを感じまして。つい、妖としての欲が暴走してしまったのです!」
大蜘蛛が必死に弁明を繰り返す。
けれどその言葉を聞いた瞬間、男の目が再び、床に座り込んでいる吉乃へと向けられた。



