遊郭の花嫁

 


「オマエの異能の秘密は今言った通り、その瞳にある。オマエが流す涙には惚れ薬の効果があり、口にしたものは生涯オマエしか愛せなくなる――そう、言うなれば〝惚れ涙〟だ!」

「ほ、惚れ涙……?」

「ああ、そうだ。惚れ涙を使えば、この世のありとあらゆるものを手に入れられる。どんな賢者であろうと、愛を知ったら愚者となるのだから。とても恐ろしい力だ!」


意気揚々と語る大蜘蛛はニヤリと(わら)い、四つ目を妖しく光らせた。


(まさか、私にそんな力があるなんて……)


「なにかの間違いです! もう一度、検査をし直してください!」


反射的に叫んだ吉乃は、後ろで縛られたままの手に力を込めた。

しかし、大蜘蛛は八本の脚をウゾウゾと不気味に動かし、せせら笑うだけだ。