(さっきの子が小見世行きなら、私は切見世行きでもおかしくないよね)
覚悟はしていたつもりだが、胸には更なる絶望が押し寄せる。
吉乃は身体こそ健康だが見た目は特別美人というわけでもなく、強いて言うなら勤勉なところだけが長所と言えた。
問題は、普通と違う瞳の色だ。
薄紅色の瞳を持つ吉乃は、人ならざる者にも『人らしくない女』として見られ、疎まれる可能性があった。
「お前、なにをボーッと突っ立っている。早く前へ出ろ」
「は、はい。すみません」
つい考え込んでしまった吉乃は案内役に急かされ、慌てて足を前に踏み出した。
少しでも心を落ち着けるために深呼吸をしたあと、額に御札を貼り付けた老人の前に立つ。



