「冗談…ですよね―…?」 携帯を持つ手も、声も、震えてしまう。 『本気だよ』 なんで? ――彼女は? 「嘘……これ、夢? だって――」 『夢じゃないよ』 優しい口調で、あたしの言葉を遮る。 『嫌だった?』 嫌なわけない。 絶対、あたしの気持ちを分かってるから、そんな余裕がある話し方なんだ。 ズルいよ。 「嫌じゃない…!嬉しいです。 だってあたし、ずっと… 在原さんのこと好きだったんですよ?」 電話越しに、空気が緩んだのが分かった。 少し笑って、 『え、過去形?』 と言われた。