社員旅行から帰ってからも、在原さんは今まで通り。
何かあれば助けてくれるし、普通に世間話もする。

だからあたしも「あの時、何を言おうとしたんですか?」なんて聞かなかった。

ほんとは聞きたかったけど。




平穏に時間は過ぎて行き、秋祭りの時期。

「沙耶ー!おかえりー♪」
祭り好きの沙耶が帰省したので、駅までお迎え。

「ただいまー。
もうほんと、こっちに戻って来たいわ…」

仕事がすごくハードみたいです。


車に乗り込むなり、興味深々で質問される。

「で、どうなの?あの人とは」

「特に何もないよー。

でも、社員旅行のとき…部屋に呼ばれた」



「え!?部屋に!?何かされたの!?」

「あ。今、やらしい想像したでしょ?
悲しいことに、何もされてないよ…。

何か言われそうになったけど。
ちょうど彼女から電話かかってきて、続きが聞けなかったんだよねー…」


「うあ、なんじゃそりゃ。
盗聴器でも着いてんじゃないの?」

アハハと笑いながら楽しそうに言われた。


いや、でも、あながち冗談とは言い切れないかも。